耳で読む設計室

CAD×Audible|耳で読む施工図屋さん

『職分』Audibleレビュー|ナレーター交代あり。1話1時間で区切れる萩尾警部補の短編集

結論:今野敏『職分』(朗読:茶川亜郎)は、1話1時間弱で区切って聴きやすい、捜査三課盗犯係の警察小説短編集でした。長編のような没入感は強くありませんが、仕事の区切りに合わせやすく、作業中の負担も少ないです。ただし、前3作から続くナレーターが茶川亜郎さんに交代しているので、水越健さんの声に慣れているとやや戸惑います。内容は萩尾警部補シリーズの続編ですが、短編集という作りで番外編的な立ち位置の一冊でした。

■ はじめに

今野敏『職分』をAudibleで聴きました。朗読は茶川亜郎さんです。萩尾警部補と武田秋穂が登場するので、内容としては萩尾警部補シリーズの続きにあたります。ただし、Audibleではシリーズのくくりに入っておらず、短編集という作りが番外編的な立ち位置にしています。

前3作『確証』『真贋』『黙示』を聴いてきた側には、萩尾と武田の関係やシリーズの空気を知っているぶん入りやすいです。一方でナレーターが変わっているため、水越健さんの声に慣れていると最初は少し戸惑います。

■ 今日の耳読シーン

在宅で施工図の仕事をしながら耳読。変換や資料整理、修正・割付検討など、いつもの流れの中で聴きました。再生速度は1.3倍。茶川亜郎さんの声は水越健さんより軽めの印象ですが、1.3倍でも聴き取りに問題はありませんでした。

1話が1時間弱で終わるので、作業の区切りに合わせやすかったです。長編だと「今やめると中途半端」と感じることがありますが、この作品はそこで悩みにくいです。一方で、物語に深く入り込む感じはあまりなく、AMラジオを流しながら仕事をしているような感覚に近かったです。

■ 本の概要

警視庁捜査三課盗犯係の萩尾警部補と武田秋穂を中心に、7つの短編を収録した今野敏の警察小説です。収録話は「常習犯」「消えたホトケ」「職分」「正当防衛」「目撃者」「粘土板」「手口」の7編で、どれも1話1時間弱にまとまっています。

話があちこちへ広がらず、事件の輪郭がすっきり見えてくる作りです。大きなどんでん返しや重い伏線回収を期待するタイプではなく、盗犯係ならではの手口の面白さや、刑事と犯人の距離の近さが前に出ます。重い刑事物とは少し温度が違う、三課らしい読み味がこの短編集の特徴です。

■ 萩尾警部補シリーズの読む順番

今野敏の萩尾警部補シリーズは、Audibleで以下の順で配信されています。

  1. 『確証』
  2. 『真贋』
  3. 『黙示』
  4. 『職分』(本作・短編集)

本作は内容として前3作の続きですが、短編集という作りで各話は独立しています。Audibleではシリーズのくくりに入っていないため、単体でも読めるように人物紹介が各話に入っています。ただし、萩尾と武田の関係やシリーズの空気を知っているほうが楽しみやすいのは確かです。できれば『確証』から順番に聴いてからが自然です。

■ 主な登場人物

中心人物は前3作から引き続きです。短編集のため各話に人物紹介が入りますが、シリーズを追ってきた人には重複して感じる場面もあります。

  • 萩尾秀一:捜査三課盗犯係の警部補。堅実な仕事ぶりはシリーズを通じて変わらず。
  • 武田秋穂:萩尾の部下。前3作から引き続き登場。今作は茶川亜郎さんが声を担当しており、水越健さんの朗読と声の印象が変わります。

■ ナレーションの印象

朗読は茶川亜郎さんです。前3作の水越健さんから交代しています。単体の作品として聴けば問題のない朗読ですが、シリーズを続けて聴いてきた側には主人公たちの声が変わる戸惑いがあります。特に武田秋穂の声は、水越健さんのほうが人物の雰囲気に合っていたように感じました。

茶川亜郎さんの声は水越健さんより軽めの印象で、短編を流して聴く分には自然です。1.3倍速でも聴き取りに支障はなく、耳に負担がかかる感じもありませんでした。ただ、シリーズを通して同じナレーターで聴きたい人には、この交代は少し引っかかります。

■ 作業との相性

※記号は「作業中の聴きやすさ」の目安です(作品の面白さ評価ではありません)。

作業相性(体感):(区切って聴きやすいが、没入感は長編より軽め)

  • 変換・資料整理など:◎ 1話ごとに切りやすく、仕事の区切りに合わせやすい
  • 修正・割付検討など:○ 邪魔にはなりにくいが、物語が強く前に出る感じはない
  • 詳細・納まり検討など:△ BGMとして流せるが、内容が強く残るタイプではない

重い事件や強い感情の揺れが少ないので、作業中でも気持ちが乱れにくいです。長編を聴くほどの余裕はないけれど何か流しておきたい、という日にはかなり合います。1話ごとに終わる作りが、仕事の区切りと噛み合うのがいちばんの強みでした。

ただ、聴き終えたあとに「作品に深く入れた」と感じることはあまりありませんでした。便利さはあるが満足感は長編より軽め、というのが正直な印象です。

■ こんな人には合わない

  • シリーズを1作目から追っていない人(単体では人物関係が薄く感じる)
  • 水越健さんの声でシリーズを通して聴きたい人
  • 長編のような没入感や読後の充実感を求める人
  • どんでん返しや伏線回収を楽しみたい人
  • 犯人を予想しながら聴き進めたい人
  • 殺人事件の緊張感や強いサスペンスを求める人
  • 女性ナレーターや高めの声が好みの人

ナレーター交代はシリーズ読者にとって最初の引っかかりになります。また、短編集という作りの性質上、1話ごとの満足感は得られますが、長編のように物語が積み重なって深まっていく感覚はありません。その点を把握した上で聴くかどうかを判断してください。

■ 心に残ったポイント

  • 1話1時間弱で終わるので、仕事の区切りに合わせやすい
  • 捜査三課盗犯係らしい手口の面白さや、刑事と犯人の距離感が前に出る
  • 話が広がりすぎず、輪郭がすっきり見えてくる短編が多い
  • シリーズ既読だと人物紹介が重複して感じられる場面もある
  • 茶川亜郎さんの朗読は単体では自然だが、水越健さんとの声の違いは出る
  • 長編より軽めだが、三課らしい読み味は残っている

いちばんよかったのは扱いやすさでした。腰を据えなくてもよく、1本ずつ聴ける。盗犯係の話なので重さに引っ張られにくく、仕事中の気軽さはかなり助かります。

一方でシリーズを追ってきた人ほど、ナレーター交代や人物紹介の重複は気になるかもしれません。「シリーズの続きとして補完する」か「短編の入口として使う」か、どちらの目的で聴くかで印象が変わる一冊です。

■ こんな人におすすめ

  • 1話ごとに区切って聴けるAudible作品を探している人
  • 重すぎない警察小説を仕事中に流したい人
  • 萩尾警部補シリーズを前3作から順番に追ってきた人
  • 捜査三課盗犯係らしい事件や手口の話に興味がある人

■ 総評

今野敏『職分』は、1話ごとに区切って聴きやすい捜査三課の短編集でした。1.3倍速で流せて、仕事の区切りに合わせやすく、重い刑事物ほどの負担もない。変換・資料整理のような軽作業との相性はよかったです。

ただし、前3作から続く水越健さんの朗読が茶川亜郎さんに交代しており、シリーズを順番に聴いてきた人には戸惑いが出ます。強い一冊というより、シリーズの補助線として日々の作業の中で使いやすい短編集です。萩尾警部補シリーズに入るなら、まず1作目『確証』からが自然です。

© 耳で読む設計室 – CAD×Audible|耳で読む施工図屋さん

運営者情報

プライバシーポリシー

免責事項

お問い合わせ