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『海賊とよばれた男 上巻』Audibleレビュー|先入観が崩れる序章。作業中に熱量が乗る実話小説

結論:『海賊とよばれた男 上巻』(著者:百田尚樹/ナレーター:井上和彦)は、手を動かしながらでも流れを見失いにくく、作業のリズムを保ったまま聴けるAudible作品でした。
実話をもとにした熱量がそのまま仕事の集中に乗ってきて、「続きを聴きたい」が作業の推進力になる感覚がありました。

■ はじめに

建築の施工図を描きながら、耳では物語を聴く。そんな「ながら読書」の時間に出会った一冊が、『海賊とよばれた男 上巻』でした。

タイトルは以前から知っていたものの、「海賊」という言葉から歴史小説のような物語を想像してしまい、これまで手に取っていなかった作品です。さらに著者に対しても先入観があり、なんとなく距離を置いていました。

それでも今回、妻にすすめられたことをきっかけにAudibleで聴き始めることに。結果的に、その先入観は序章の段階で気持ちよく裏切られることになりました。

■ 今日の耳読シーン

在宅で図面仕事をしながら耳読。作品は、変換・資料整理などの軽い工程から、チェック修正などの中くらいの工程、割付・詳細検討など判断が要る工程まで、仕事の流れの中で“横断して”聴くことになります。

序章から熱量が高く、「続きが気になる」が作業の推進力になるタイプ。手は動くのに気持ちは物語側に乗る感覚がありました。

■ 本の概要

戦後の日本で石油会社を立ち上げた実業家の物語。モデルは出光興産の創業者で、実話をベースに描かれています。混乱の時代の中で、信念を貫きながら仲間とともに事業を切り拓いていく長編小説です。

■ ナレーションの印象

朗読は井上和彦さん。落ち着いた声で物語の重みとよく合った語り口でした。派手さはありませんが、人物の信念や覚悟がじわりと伝わってきます。テンポも安定していて、作業しながらでも流れを見失うことなく聴き続けることができました。

■ 作業との相性

作業相性(体感):(流れが追いやすく手が進む。ただし実話ベースゆえ“調べたくなる”)

  • 変換・資料整理など:◎ かなり合う。手が進む
  • チェック修正など:◎ 集中は保てる。検索欲だけ注意
  • 割付・詳細検討など:○ 熱量で手が止まりそうな場面は、聴くタイミングをずらすと安定

区切りは章よりも、「調べたくなった瞬間」にいったん聴く手をゆるめて、作業ペースを整えるのが現実的でした。

■ 心に残ったポイント

  • 「社員を切らない」「人を裏切らない」という覚悟ある経営姿勢
  • 身近な人を納得させられないなら、世間を納得させられないという考え方
  • 自分も儲ける、でも相手も儲ける。ウィンウィンを目指す価値観
  • 戦争直後の、不安と希望が入り混じる時代の熱量

戦争が終わったばかりの日本という、先の見えない不安に包まれた時代。それでも新しい時代をつくっていくしかないという静かな興奮が物語全体に流れていて、その熱量が強く心に残りました。

もし紙の本で読んでいたら、きっと没頭して手を止めていたと思います。でも耳から入る読書だったからこそ、物語の熱量がそのまま仕事への情熱をくすぐり、「続きを聴きたい」という気持ちが作業のモチベーションにつながっていきました。

そして何より、「昔の話なのに、今の仕事にも重なる」と感じたのが印象的でした。仕事は結局、人との信頼関係の積み重ねで成り立っているという感覚は、時代が変わっても変わらないのだと思わされます。

■ こんな人におすすめ

  • 仕事に誇りを持ちたいと思っている人
  • 組織の中で葛藤を感じている人
  • 人との信頼関係を大切にしたい人
  • 働く意味をあらためて考えたい人

■ 総評

妻のひと言から始まった一冊でしたが、聴き終えた今は自分の仕事への向き合い方まで静かに問いかけられたように思います。耳で聴きながら働いていたからこそ、物語の信念がそのまま自分の仕事への姿勢と重なりました。

静かだけれど確かな力を持った物語。下巻でこの信念がどう試されていくのか、続きを聴くのが楽しみです。

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