
結論:福澤徹三『晩夏の向日葵(ひまわり)~弁護人 五味陣介~』(朗読:田島章寛)は、Audibleでながら聴きしやすい、条川署クロニクル④の“スピンオフ寄り”の一作でした。
再生時間は5時間43分と短めで、1.5倍なら作業1日で聴き切れる長さ。前三作のハードさや大きな伏線回収を期待すると拍子抜けするかもしれませんが、人情寄りで聴きやすく、ところどころ前作の人物が出てくるのが嬉しい回でした。
■ はじめに
今回聴いたのは、福澤徹三『晩夏の向日葵(ひまわり)~弁護人 五味陣介~』(シリーズ:条川署クロニクル④/朗読:田島章寛)。タイトル構成も長さも、これまでと少し違う回です。
5時間43分という短さは、単体作品として見たら「作業を中断しそうで選ばなかったかも」と思う一方、シリーズの流れで聴くとテンポ良く完結して気持ちがいい。耳なじみの良い朗読も相まって、とても楽しめました。
■ 今日の耳読シーン
在宅で図面仕事をしながら耳読。変換・資料整理などの軽い工程から、チェック修正などの中くらいの工程までを中心に聴きました。
短いぶん展開が前に進みやすく、ながら聴きでも追いやすい。ただ、面白くて一気に進むので「今日で終わってしまう」感じはあります。
■ 本の概要
オレオレ詐欺の受け子から始まり、黒幕を懲らしめるまでを描く物語。ミステリーというより、人情小説のような温度感が強い回でした。
中心は老弁護士・五味陣介(ゴミジン)。弁護士でありながら、探偵のようでもあり、警察官のようでもある。動き方が“主役”で、スピンオフとして成立している印象です。
■ ナレーションの印象
朗読は田島章寛さん。条川署シリーズで耳が慣れているぶん、入ってきやすい。方言や人物の輪郭も崩れず、今回も安定して聴けました。
一点だけ、文中に出る「金主」という言葉が、文字じゃなくて音だけだと「キンシュ」。これが、最初は何のことか分からず少し引っかかりました。意味が分かってからは問題なしです。
■ ながら聴きの相性(Audible)
※記号は「作業中の聴きやすさ」の目安です(作品の面白さ評価ではありません)。
作業相性(体感):◎◎◎(不条理が薄く、聴きやすい)
- 変換・資料整理など:◎ 人情寄りで気持ちが荒れにくい
- チェック修正など:◎ 展開が分かりやすく手が止まりにくい
- 割付・詳細検討など:○ 短いぶん一気に進み、区切りをつけにくいことはある
前三作のような「世の中の不条理に沈む」感じが少なく、自業自得の比率が高い。その分、ながら聴きに向く回でした。
■ 心に残ったポイント
- 老弁護士・五味陣介が主役で、スピンオフのように成立している
- 弁護士なのに探偵・警察官のように動くのが面白い
- オレオレ詐欺から黒幕までの流れが分かりやすい
- 刑事が良かれと思って暴走し、それがほっこり要素にもなる
- 前三作ほどハードではなく、聴きやすい
- ところどころ前作の人物が出てきて楽しめる
■ こんな人におすすめ
- 条川署クロニクルを追っていて、五味陣介が気になっていた人
- 不条理で心が削られにくい警察小説を作業中に聴きたい人
- 伏線回収より、人情寄りの読後感が好きな人
■ 総評
『晩夏の向日葵(ひまわり)~弁護人 五味陣介~』は、短めでテンポ良く完結する、条川署クロニクル④の番外編のような回でした。田島章寛さんの朗読もいつもどおり耳なじみが良く、ながら聴きで最後まで気持ちよく追えます。
ただし、伏線回収や本格ミステリーを期待すると拍子抜けするかもしれません。前三作の展開を求める人にも同様に軽く感じるはず。その代わり、人情寄りで聴きやすく、前作の人物が顔を出すのが嬉しい。
単体でも成立しますが、五味陣介が気になったら②③も聴いてみてほしいと思いました(①には出てこないはずです)。そして物語としてこの世界を楽しむなら、①〜③もまとめて聴くのがおすすめです。