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『七色の毒』Audibleレビュー|作業の切れ目を選ぶ。7つの社会問題に仕掛けを重ねた短編集

結論:中山七里『七色の毒』(朗読:杉村憲司)は、色をテーマにした7つの短編からなる連作集です。1話約1時間でサクッと聴けますが、話の切れ目と仕事の切れ目が合いにくく、施工図作業との相性は長編より難しめです。それぞれの話に仕掛けがあり、聴きごたえは十分にあります。

■ はじめに

中山七里著『七色の毒』は、刑事犬養隼人シリーズの第2作です。第1作『切り裂きジャックの告白』が長編だったのに対し、本作は色にまつわるタイトルを持つ7つの短編からなる連作短編集です。朗読は引き続き杉村憲司さんが担当し、再生時間は7時間56分です。

1話あたり約1時間という構成で、それぞれ異なる社会問題を背景に、犬養隼人が事件の真実を追います。公害、いじめ、出版業界の不正、老老介護など、テーマは毎話変わります。第1話と第7話に繋がりがあり、短編集でありながら通して聴く意味がある構成になっています。

■ 今日の耳読シーン

施工図の作業中に聴きました。1話約1時間という単位が、仕事の区切りとうまく合わないことが多く、話が終わっても仕事が残っていたり、仕事が終わっても話が途中だったりという場面が続きました。短編集ならではの難しさで、長編とは違う聴き方の工夫が必要だと感じました。

■ 『七色の毒』あらすじ

赤・黒・白・青・緑・黄・紫、7つの色にまつわる事件を犬養隼人が追う連作短編集です。収録作は「赤い水」「黒いハト」「白い原稿」「青い魚」「緑園の主」「黄色いリボン」「紫の供花」の7編です。

公害、いじめ、出版業界の裏側、海釣りにまつわる毒、老老介護、子育て支援の抜け穴、そして犯罪の多面的な側面と、テーマは毎話まったく異なります。いずれの話も、大悪人ではなく良心の呵責を抱えた人物が罪を犯すという構図で、そこにミステリーの基点が置かれています。各話にどんでん返しが仕掛けられており、聴きごたえは十分です。

■ 読む順番/シリーズ情報

刑事犬養隼人シリーズの読む順番は以下の通りです。各作品は単体でも楽しめますが、第1作から順に聴くと世界観が掴みやすくなります。

  1. 切り裂きジャックの告白 ← 前作
  2. 七色の毒 ← 本作
  3. ハーメルンの誘拐魔
  4. ドクター・デスの遺産
  5. カインの傲慢
  6. ラスプーチンの庭
  7. ドクター・デスの再臨

■ 主な登場人物

  • 犬養隼人:警視庁捜査一課のエース。人の嘘を見抜く洞察力を持ちますが、なぜか女性の嘘には滅法弱いという設定があります。各話で異なる事件に関わりながら、真実を追い続けます。

■ ナレーションの印象

前作に引き続き杉村憲司さんが担当しています。短編集という性質上、話ごとに登場人物が入れ替わりますが、声の演じ分けは安定していて、各話の切り替えもスムーズに聴けました。前作同様、無駄な抑揚がなく聴きやすいナレーションでした。

■ 作業との相性

※記号は「作業中の聴きやすさ」の目安です(作品の面白さ評価ではありません)。

  • 変換・資料整理など:○ 1話約1時間で区切れるため、話の単位では管理しやすいです。ただし仕事の切れ目と話の切れ目が合わないことが多く、長編のようにBGM感覚で流し続けるのは難しめです。
  • 修正・割付検討など:○ 内容を追いながら作業できますが、話が終わると一旦気持ちが区切れてしまうため、集中が途切れる場面があります。電話着信など外部の割り込みが入ると、短編の流れを取り戻しにくくなります。
  • 詳細・納まり検討など:△ 各話の山場や感情的な場面(いじめ、老老介護など)と集中が必要な作業が重なると、手が止まることがあります。

■ 気になったところ

  • 短編集と仕事の相性:施工図作業のように仕事の区切りが不規則な場合、話の切れ目と合わせにくいです。家事など流れが一定の作業の方が向いていると感じました。
  • 3話目以降でパターンが読めてくる:話を重ねるうちに展開の型がある程度見えてきます。それでも各話の一ひねりは楽しめますが、どんでん返しの鮮度は話が進むにつれて少し薄まります。

■ こんな人には合わない

  • 施工図や設計など、仕事の区切りが不規則な作業中に聴きたい人。話の切れ目と仕事の切れ目が合いにくく、ストレスになる場合があります。
  • いじめや子供が傷つく描写が苦手な人。第2話「黒いハト」は特に心が揺れる内容です。
  • 長編のどんでん返しを期待している人。短編ならではの小さなひねりが中心で、大きな逆転劇は少なめです。

■ 心に残ったポイント

  • 「青い魚」のソウシハギ
    ソウシハギがフグ毒の数倍の毒性を持つという豆知識が出てきます。大丈夫かと思いながら聴いていたところに展開があり、悪を成敗したような爽快感がありました。7話の中で一番読後感がよく、いい意味で裏切られた話でした。
  • 良心の呵責を抱えた犯人たち
    7話を通じて、大悪人が登場するわけではありません。罪を犯しながらも良心の呵責を感じている人物が多く、そこにミステリーの基点が置かれています。単純な勧善懲悪にならないところが、聴き終えたあとに何かを残します。
  • レンゲの花言葉「私の苦しみを和らげる」
    第7話「紫の供花」で出てきた言葉です。第1話と繋がる構成の中で、この花言葉が静かに響きました。犯罪には多面的な側面があるという感覚が、この一言に凝縮されていました。

■ こんな人におすすめ

  • 家事など、作業の流れが一定で区切りを気にしなくていい時間に聴きたい人。1話約1時間という単位が合いやすくなります。
  • 社会問題をテーマにした短編ミステリを聴きたい人。公害、いじめ、老老介護など、毎話テーマが変わるので飽きにくいです。
  • 刑事犬養隼人シリーズを第1作から順に追っている人。第1話と第7話の繋がりは、シリーズの世界観を知っていると楽しめます。

■ 総評

『七色の毒』は、1話約1時間という短編集ならではのテンポで聴き進められます。テーマは毎話変わり、各話に仕掛けがあって聴きごたえは十分です。施工図作業との相性という点では長編より扱いにくいと感じましたが、流れが一定の作業との組み合わせなら気持ちよく聴き通せる一作です。

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