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『ひきこもり家族』Audibleレビュー|陰鬱なのに離脱しない。声で楽しむ社会派小説

結論:染井為人『ひきこもり家族』(朗読:大久保多聞)は、陰鬱な空気から始まるのに、途中から少しずつ希望が見えてくるAudibleでした。
社会問題として考えさせられる一方で、声が重要な作品でもあり、私は本で読むよりAudibleの方が楽しめると感じました。作業中でも離脱せずに聴けましたが、当事者がいる家族にはまた違う見え方をするかもしれません。

■ はじめに

今回聴いたのは、染井為人『ひきこもり家族』(朗読:大久保多聞)。大久保多聞さんは染井為人作品でよく聴くナレーターで、今回も安定して良かったです。

老若男女の声がどれも聴きやすく、この作品は特に「声」がポイントになるので、本で読むよりAudibleの方が楽しめると感じました。

■ 今日の耳読シーン

AutoCADの資料整理や、jw_cadの詳細検討をしながら耳読していました。

冒頭はかなり陰鬱で、強引な手法も出てきて心が痛い。ただ、私は最後まで離脱せずに楽しめました。社会問題のひとつとして聴けたからかもしれません。

■ 本の概要

物語の軸になるのは、19歳の平本僚太、44歳の下田大知、大女のみちる。この3人を中心に話が回っていきます。

立場の違う人たちが関わる中で、「立場が違うだけで、こんなにも人の態度は変わるのか」と思わされる場面が多い作品でした。

■ ナレーションの印象

朗読は大久保多聞さん。安定感があり、人物の輪郭をきちんと聴き分けられます。老若男女すべて自然で、とても聴きやすい。

この作品は、会話の温度や間の取り方が効いてくるので、音声で聴くと面白さが増すタイプだと思いました。鶏舎での場面などは特にAudible向きで、コケコッコーと鳴くところは思わず笑ってしまいました。

一方で、施設側の人間が繰り返す「〇〇ですね」という語尾は少し気になりました。違和感というより、耳に残る感じです。

■ ながら聴きの相性(Audible)

※記号は「作業中の聴きやすさ」の目安です(作品の面白さ評価ではありません)。

作業相性(体感):◎◎○(陰鬱さはあるが、流れは追いやすい)

  • 変換・資料整理など:◎ 内容に入っていきやすく、離脱しにくい
  • チェック修正など:◎ 人物が整理しやすく追いやすい
  • 割付・詳細検討など:○ 重い場面は少し気持ちを持っていかれる

陰鬱な空気はあるものの、あることをきっかけに全員が希望を持ち始める流れがあり、そこが物語の推進力になっていました。ただ、「駄目なものは駄目」と考える人には、そのあたりが離脱ポイントになるかもしれません。

■ 心に残ったポイント

  • 冒頭の強引な手法には心が痛む
  • 社会問題としては理解できるが、これが正しいのかは迷う
  • 鶏舎での作業には希望があり、体を動かすことの意味を感じる
  • 立場が変わるだけで、人の態度が大きく変わるのが印象的
  • 声が重要な作品で、Audible向きだと思う

特に鶏舎での作業の場面には、少し光が差す感じがありました。体を動かすことの強さや、単純なリズムの中で人が少し変わっていく感じは、希望として受け取れました。

■ こんな人におすすめ

  • 社会問題を題材にした小説をAudibleで聴きたい人
  • 声の演じ分けが効く作品を楽しみたい人
  • 陰鬱さの中にも少し希望が見える話が好きな人

■ 総評

『ひきこもり家族』は、冒頭からかなり重い空気をまとった作品でしたが、Audibleで聴くことで人物の輪郭や声の違いがはっきりして、最後まで離脱せずに楽しめました。

問題提起としても考えさせられる一方で、物語としては「声」で聴く面白さが強い作品でした。当事者の家族が聴くとまた違う感想になるかもしれませんが、私はAudibleで聴いて良かったと思います。

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