
■ 結論
『月下のサクラ』(柚月裕子・朗読:音代雪里)は、前作『朽ちないサクラ』で警察事務職員だった森口泉が、念願の刑事となって事件に挑む警察小説です。ナレーターは前作と同じ音代雪里ですが、主人公の雰囲気が大きく変わり、前作とは別の作品のような聴き心地でした。
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■ 作業との相性
変換・資料整理のような軽い作業であれば、ハードボイルドな展開でも大きな支障なく聴き進められます。前作と異なり暴力描写のある場面もありますが、気になるほど強い描写ではありませんでした。速度は1.5倍速で聴きましたが、聞き取りに問題はありませんでした。ただし、終盤にかけて捜査情報や新しい要素が積み重なる場面があり、修正・割付検討や詳細・納まり検討のように集中を要する作業では、情報を落としやすい場面もありました。
■ Audibleで聴く
『月下のサクラ』のAudible版は、朗読・音代雪里で、再生時間12時間11分、2024年7月6日に配信が始まりました。前作に続き同じナレーターですが、前作は泉と磯川という若い二人のやり取りが中心だったのに対し、今回は警察幹部など男性の大人の声が中心になり、太い声にはやや違和感がありました。Audibleでは本作の配信を確認できます。無料体験の条件は変わることがあるため、最新の内容は登録画面でご確認ください。
■ 作品について
『月下のサクラ』は柚月裕子による警察小説で、前作『朽ちないサクラ』の続編にあたります。森口泉は努力の末に刑事となり、機動分析係に配属されます。警察内部で起きた事件をきっかけに、物語は思わぬ方向へ広がっていきます。
■ 主な登場人物
- 森口泉(もりぐち いずみ):警察事務職員から努力の末に刑事となった主人公。機動分析係に配属される。
- 黒瀬(くろせ):機動分析係の係長。実技試験に失敗した泉を強く推薦した人物。
■ 身近な事務職員だった泉が、組織に踏み込む刑事に変わっていた
前作『朽ちないサクラ』の森口泉は、応援したくなるような身近な存在でした。しかし『月下のサクラ』では、警察内部に入り、雰囲気ががらりと変わっています。特に前作で泉と上下関係を語り合っていた磯川との掛け合いが、今回はほとんど聴けませんでした。それも、この変化を大きく感じさせる一因だったように思います。視覚的な記憶力という能力についても、前作を聴いた時点ではその能力を強く意識していなかったので、驚きのある展開でした。前作のイメージを大きく裏切られる一作でした。
■ 前作は杉咲花に重なったのに、今回はそう感じなかった
前作『朽ちないサクラ』では、聴きながら勝手に主人公を杉咲花のイメージで想像していました。今回はそうした感覚が湧きませんでした。相変わらずドラマや映画の台本を聴いているような語り口ではあるものの、人物像の伝わり方が前作とは違っていたのかもしれません。理由ははっきりしませんが、シリーズを通して聴いたからこそ気づけた変化でした。
■ 読む順番/シリーズ情報
『月下のサクラ』はAudible上で『朽ちないサクラ』に続くシリーズ第2作として位置づけられています。続編ではありますが、雰囲気が大きく変わるため、単体で聴いても十分楽しめます。ただし、泉の変化や前作との聴き心地の違いまで味わいたいなら、前作『朽ちないサクラ』から聴く方が楽しめます。
■ 人物の変化をじっくり確認したい人へ
『月下のサクラ』は、前作から主人公の雰囲気が大きく変わる一作です。原作は徳間書店から、単行本が2021年5月15日に刊行されています。前作の人物描写や能力設定を読み返しながら、今作の泉と読み比べたい場合は、書籍やKindle版を選ぶのもひとつの方法です。
■ こんな人に
警察小説らしいハードボイルドな展開や、刑事として活躍する主人公を楽しみたい人には向いています。ただし、前作『朽ちないサクラ』の身近な雰囲気をそのまま期待していると、印象の変化に戸惑うかもしれません。前作と合わせて聴くことで、その変化自体を楽しめる作品です。