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『神話の密室 天久鷹央の推理カルテ 完全版』Audibleレビュー|短編2編構成で区切りよく聴ける。北欧神話が絡む2つの密室事件

■ 結論

『神話の密室 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(知念実希人・朗読:高岡千紘)は、閉鎖病棟の泥酔とキックボクシング会場での死亡という2つの密室事件を扱う短編2編構成の一冊。第2章では小鳥遊が自ら謎を解決する場面があり、シリーズを追ってきた身としては切ない余韻もありました。事件カルテ5作の後に来る一冊として、作業との相性は推理カルテの中では標準的でした。

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■ 作業との相性

AutoCADでの作業中に聴きました。1.3倍速で聴いています。

第1章が2時間21分、第2章が2時間49分と、事件カルテと比べて短めの構成です。1日の作業時間にまとめて合わせるには少し物足りなさがありましたが、短編2編構成ならではの区切りの良さで聴き切れました。

会話劇中心で聴きやすい一方、長編1本に慣れてきた後では作業のリズムに乗り切れない場面がありました。謎解きの核心部分では少し意識を引っ張られる場面もありましたが、短編2編構成なので切り替えは早かったです。

■ Audibleで聴く

再生時間は5時間39分。配信日は2022年8月5日。Audibleで本作の配信を確認できます。無料体験の条件は変わることがあるため、最新の内容は登録画面でご確認ください。

前作から引き続き高岡千紘が朗読しています。短編2編構成でも登場人物の声の使い分けは一貫しており、迷子になることはありませんでした。作中ではアルコール中毒の種類(エチルアルコール中毒だけでなくメチルアルコールなど)にも触れられており、医療ミステリーならではの知識として耳に残りました。

■ 作品について

知念実希人による天久鷹央シリーズの、Audible配信順では第11作(推理カルテとしては第6作)。事件カルテ5作の後に、再び短編2編構成の推理カルテに戻ります。

アルコールが一滴もないはずの閉鎖病棟で泥酔を繰り返す、かつての人気作家。キックボクシングの王者決定戦、勝利の瞬間にリングで死亡したチャンピオン——厳重な警備の病院と、千人以上の観客が見守る中で起きた摩訶不思議な2つの「密室」事件です。第1章は酒の神バッカス、第2章はトールのハンマーとユグドラシルという北欧神話の要素が絡み、タイトルの「神話」と重なって感じられました。

シリーズは2025年1月にTVアニメ化、同年4月にテレビ朝日系でドラマ化(橋本環奈主演)されています。

■ 主な登場人物

  • 天久鷹央(あめく たかお):統括診断部部長。天才女医。
  • 小鳥遊優(たかなし ゆう):内科医。鷹央の相棒で語り手。今作では第2章で自ら謎を解決する場面があり、シリーズを通じた成長が見える。
  • 鴻ノ池舞(こうのいけ まい):研修医。今作でも鷹央と小鳥遊をくっつけようとする画策が描かれる。

■ 第2章での小鳥遊の成長——少し切ない余韻

今作では第2章で、小鳥遊が自ら謎を解決する場面があります。これまで鷹央の推理を受け止め、聴き手に近い立場で事件を追いかけてきた小鳥遊が、自分の力で謎に辿り着く。

推理カルテ1巻から聴き続けてきた身には、この成長が単純な喜びだけではなく、少し切ない余韻を伴って届きました。事件カルテを経て積み上げてきた関係性が、こういう形で表れるのかと感じた場面です。

■ 鴻ノ池の画策に、少し飽きを感じ始めた

鷹央と小鳥遊をくっつけようとする鴻ノ池のやり取りは、推理カルテ序盤の頃は楽しく聴けていました。ただシリーズを重ねるごとに、正直なところ少し飽きを感じるようになってきました。

キャラクターとしての鴻ノ池自体は事件カルテで合気道やバイクといった新しい一面を見せてくれましたが、この定番の画策パートだけは、そろそろ変化がほしいと思いながら聴いています。

■ 読む順番/シリーズ情報

天久鷹央シリーズの、Audible配信順では第11作(推理カルテ第6作)にあたります。事件カルテ5作の後に配信されており、シリーズ名が推理カルテに戻り、短編2編構成に戻ります。事件カルテの長編構成と推理カルテの短編2編構成では、作業しながら聴く感覚が変わります。推理カルテはまとめて、事件カルテはまとめて聴く区切り方のほうが、作業スタイルとの相性を考えると自然かもしれません。

天久鷹央シリーズを順番に聴きたい人へ

Audibleで聴ける20作品の順番、「推理カルテ」と「事件カルテ」の違い、時系列の補足をまとめ記事で整理しています。

▶ 天久鷹央シリーズのAudible順・読む順番を見る

■ 文字でも読みたい人へ

実業之日本社文庫から『神話の密室 天久鷹央の推理カルテ 完全版』として刊行されています(2024年3月7日発売)。現行書籍版には書き下ろし掌編「後輩、朝霧明日香」が収録されています。Audible版と現行書籍版の収録内容が完全に同一かは、公式情報だけでは断定できないため、購入前にご確認をおすすめします。小鳥遊が自ら謎を解く場面の声の変化を聴きたい人は、Audible版がおすすめです。

■ こんな人に

天久鷹央シリーズを配信順に聴き続けている人に向いています。推理カルテの短編2編構成としての雰囲気を改めて楽しみたい人、小鳥遊の成長をシリーズを通じて追ってきた人には特に響く一冊です。

事件カルテの長編1本の没入感を期待している人、1日の作業時間にまとめて合わせて聴きたい人には、再生時間の短さが物足りなく感じられるかもしれません。鴻ノ池の恋愛画策が苦手になってきた人も、その点は留意してください。

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